夢のアトリエ-ep1

1周年コラム

自分のお店をつくろう――そう心に決めたのは、ちょうど今から1年前。
当時在籍していたお店の店長と、「これから」の話をしていたときのことだった。

店長がふとこぼしたひとこと。
「まいまいくらいかっこいいんだったら、自分のお店なんてすぐ作れるでしょ?」

店長からしてみれば、なんてことのない一言。
……だったのかもしれない。

そのとき私の目が光ったのを、店長は見逃さなかっただろう。
あわてて言葉を引っ込めようとした気配まで、あの時のこと、ぜんぶ覚えている。

それでもわたしには、その言葉が
「自分で道を開いてもいいよ」という合図に聞こえたことは確かだった。

――どうして、そんなふうに聞こえたんだろう。

風俗歴は2年目。
在籍店舗でランキングで1位になった。
この世界に入って初めてもらった、金メダル。

嬉しかった。
でも、ちょっと息が苦しくなった。

数字を追いかけること。
わたしのやりたいこと。
どこかがずれているような、ざわざわした気持ち。

仲良しのお客様がお店の電話対応に心を乱して「今日は行かない!」と怒ったことがあった。
ほんの小さなことなのに、胸の奥がざらりとした。
“無理をさせていたのかな”
“本当は遊びたくなかったのかな”
そう思ったら、普段笑っている自分まで嘘に見えてしまうような気がした。

その後店長と何度も喧嘩をして、面談もして。
それでも結局、自分のなかに芽生えた違和感と、本当の気持ちは言えなかった。

だからこそ――。

わたしは思った。

自分の居場所を。
わたしと、わたしのお客様が
心から楽しんで過ごせる場所をつくりたいって。

そのためなら、がんばれる。
そのために、馬力を出したい。
そのために使う時間なら――惜しくない。

あの日の何気ないひとことが、
わたしが自分のお店をひらく大きな一歩へと変わった。

(つづく)


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